「かざり」という日本語の語源は、「挿頭(かざし)」、つまり草花を「髪に挿す」ことから来ているらしい。そんな素朴で愛に満ちた仕草から、遠い人類の装飾文化が始まったのだと想像するのは楽しい。

「かざる」ことこそ、人類の普遍的な欲求である。様々な歴史がそれを雄弁に物語っている。服飾や工芸、建築など、あらゆる分野の装飾が、世界中で花開いてきた。

最初に日本で現れた「かざり」は、とてもユニークな縄文文化である。特に火焔土器と呼ばれる一群は、土器を焼く野焼きの炎と黒煙が、蛇のように渦巻きそのまま凝結したような造形だ。

その後大陸文化の影響を受けて、弥生、古墳、奈良時代と洗練がすすみ、平安時代には、独自の服飾や建築様式が生まれていった。鎌倉、室町時代は、「床の間」の原型の「座敷かざり」が成立し、「侘びの美」に結実する。桃山、江戸初期は、同時に対極のかざりが躍動する。

日本の「かざり」の歴史を眺めると、土着の生命力に満ちた激しさと、外国の影響を独自に洗練させた静けさが矛盾しながらひとつに溶け合っているように見える。お互いに相反するものが存在してこそ、文化は豊かに発展する。その揺れ動くプロセスそのものが日本の服飾文化の独自性を育ててきた。

「かざり」という美しい言葉の由来を思う時、私たちはいつしか太古の草原に連れ戻される。飾るものがない時に、人は何を探し求めるのか。その答えが「一輪の花」であったことに、あらためて日本人と自然の根源的なつながりを見る思いがする。
-コレクションのコンセプトよりー

デザイナープロフィール

堀畑 裕之は同志社大学大学院を修了後、関口 真希子は杏林大学を卒業後、ともに文化服装学院アパレルデザイン科で学ぶ。1998年に卒業後、それぞれ別々のデザイナーズブランドでパタンナーとして5 年間勤務。2003年渡英、ロンドンのBora Aksuのアトリエで働く。帰国後05年3月(株)lews纏設立、「matohu」をスタート。06年3月より東京コレクション・ウィーク(JFW)に参加。2009年 毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。

official site. http://www.matohu.com/

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